鎌倉の近代建築を訪ね歩き、保全活用を話し合う会

2014年10月26日 イベント / 御成小学校 旧講堂 / 歴史

10月18日、対象建物を訪ね歩いた後、風致保存会の二階で、意見交換会が行われた。以下はその時の話合いの概要。

話し合いの様子

日時 平成26年10月18日(土)午後3時半〜4時半
場所 旧坂井邸・鎌倉風致保存会二階会議室
話合い参加者 上田恵美子(Ud)さん、七尾徹(Nw)さん、黒田一正(Kd)さん、兼子ますみ(Kk)さん、高橋祐子(Th)さん、黒澤充江(Ks)さん、錦澤郁(Nz)さん、仁田原悠貴子(Nh)さん、古矢宣子(Fy)さん、白山正生(Sy)さん、伊香輪純子(Iw)さん、阿部光世(Ab)さん
主催者側参加者 福澤健次、兵藤芳朗、野村和代、阿曽千代子、八幡義信、横松佐智子、草場圭三(記)(敬称略)

(発言者名の不明な方の名の部分は?と記した)

Kdさん
近代建築を観る場合、建築学の視点で観る事から、美学的に観る視点もあると思う。そう言う意味で、色々な建物が鎌倉にはある。これらを保存する場合、市の予算の範囲でやる事になるのだが、どれを残す事になるのか、また御成講堂を残す事をプッシュするとして、その理由は?そして将来に向けて保存するものとして、どう予算付けするのか?メンテナンス費用もかかる。他の人たち/団体はどう考えているのだろうか?

女性?さん
わたしの子供も孫も御成小学校に通っている。この話しが出た当時は、そのうち修復されるだろうと思っていた。それが甘かった。気持ちが浅かったと思っている。兵藤さんもその時いらっしゃった。もう少し市民の側の感想も取り入れるべきだった。

女性?さん
藤沢市に比べて、鎌倉にはいい建物が多いと思う。大切な事は、住民の思想を育てる事だと思う。

Ksさん
あの時は、ただ署名集めだけで終わった。その事が残念だ。あそこに土器などを倉庫代わりに置くのでは無く、もっとちゃんとした保存・活用を考えなければいけない。

男性?さん
正直、この事にこれまで関心が無かった。また何故この施設を無くしてしまうのか、それは個人により基準が違うと考えている。また一級の建築物と言うものは、言葉では解らないものだ。それの保存への思いがどんなに強くても、その思いを持つ個人を増やさなければ何にもならない。また、金を使わずにやる方法を考えねばならない。今日は、せめて元安保小児科医院の建物の中に入ってみたかった。そんなことによって、同じ思いのひとを増やしていく策が必要なのだと思う。

男性?さん
この事情は、京都と同じだ。建物を残す手段を考え、出来るだけ残して欲しい。K邸の中には入りたかった。

福澤
あそこは会社が所蔵している。兵藤さんが話したように、レストランにすることで、一般公開が実現出来ると思う。税金を使う話はなかなか難しい。

女性?さん
保存は大変な事です。だから市と一緒になって、見学会を沢山やり、賛成者を増やす事などやって欲しいと思います。

女性?さん
わたしは全国の建物を観て来た。ところであの講堂はいつ頃まで使われたのですか?

女性?さん
鎌倉に移り住んでまだ三年、これから観る視点・観点が変わると思う。あの講堂の窓は塞がないとダメです。

福澤
あそこは教育委員会がメンテしていますから、それは行政の義務です。ただ、一方ではこの講堂が無くなれば、金がかからなくなるから・・・と言う声もある。松中議員も、そういう内容をと言っている。

野村
わたしは母の代理での参加です。息子も御成小学校に通っている。ただ、この講堂に関する情報公開が少ないと思います。この会のブログを開設しているようだが、一部の興味がある人しか読んでいないと思います。もっとSNSなどを活用すべきです。鎌倉近代美術館でさえも、facebookページを運用している。こういうことをすることで、真剣にやる人も出てくると思う。松尾市長とも友達だし、だからもっとアピールする事が出来ればいいと思う。そうすることによって、この講堂に寄ってから観光に行こうと言う人が増えるのだと思う。また、写真をもっと更新すればいいと思う。

女性?さん
娘は20代で、フリーペーパーで若者との橋渡しをしたいと思い、始めている。公共施設保存の入札には、市外の業者も入って来ており、護りたいと言う気持ちが減って来ていると思う。そんな状況だから、こう言う交流に大人が入って話し合いが出来れば良い。市長は暇があるなら、もっとここに踏み込んで欲しい・・・。

一通り、参加者からの意見が出たところで・・・、
福澤の司会で、フリーディスカッションを開始。

福澤
この会は平均年齢が少し高いので、意識的に野村さんのように若い人を集めてみたい。必ずしも市の予算だけでなく、例えばクラウドファンディングなども利用すればいいと思っている。古都保存法で護る鎌倉の山にしても、学校の行事とリンクさせて その施策をやって行こうとしてもいる。
鎌倉のお寺には山が多いが、実はみなその運営のやりくりをしているわけだから。
これからの街づくりを考える際に、これからはメンテナンスの時代である事を考えなければいけない、良好な状態を保つためには。その為には、市民のボランティア的な応援が必要となる。
鶴岡八幡宮や建長寺には、既にそういう金を集める仕組みがある。そしてその組織の作り方の工夫が必要だ。例えば、いずれ行政は、この講堂を風致保存会に任せるようになる、などとか。
だから、わたしは英国のナショナルトラストのような研究活動がいるかなぁと兵藤さんには話しをしている。

横松
鎌倉近代美術館の改修に関し、この三月に県議会で750万円の予算が出た。その入札では、鈴木設計(株)が落札し、9月15日から10月11日までの2週間の間に現地調査が終わった。12月15日にその報告書が県に上がる予定である。但し、ホームページには公開されない。
県の教育委員会 生涯学習担当が、この会社と改修費概算まで出すことになっており、また改修方法などに関しては別の方面からの提案も問うことになっている。
わたしは5月20日から署名活動を行い、6月20日までに、16,534名の署名を集めた。
これを2ヶ月間 文化庁には出さなかった。そして10月15日に青柳長官に会い、10分程度の会談だったが、その記事が10月16日の朝日新聞全国紙に載った。長官はこの施設の必要性に関し理解はしてくれた。
これは 西洋美術館の巨匠ル・コルビュジェの弟子である坂倉準三の設計であり、たとえ今後これがどうなろうとも、美術館であることに変わりはない。
八幡宮とは2016年3月で借地契約が切れ、返却の予定だが、今この事を行政に言ってもダメなのだろうかと感じる。だから、ひとりひとりが出来る事をやるしかないと思い始めたところだ。自分で出来ることをやるしかないと思っている。

八幡
こういう所が、組織の難しいところです。御成講堂の件で、3年前に3つのグループで要望を出したが、センチュリー財団の話しなどで、企画がそっちに行ってしまった。
わたしは昭和21年にあそこに入学した。この前の同窓会でこの話をしたら、「壊せ」と言う意見が出た。だから、今後は如何に組織化するかだ。このように同窓会から話しを進めて行く、などやる必要があると思っている。わたしは中世の歴史文化の研究をやっているが、これからはこの代事な場所を示して行きたいと思っている。
もう一つは、近代の鎌倉でのこのような建築遺産を今の街づくりの中にうまく取り込みたいと考えている。

福澤
ひとつ難しいことだが、御成小にはこれまで随分金をかけて来たなぁと言うことで、これを地域格差と観る反応に対しての説得力も必要となるだろう。

八幡
この存在を知らない人が多いと思う。もっと「知る」、「価値を説明して行く」、そういう策が必要となると考えている。

Ksさん
鎌倉には工場がない。= 空気がきれい。

兵藤さん
鎌倉山の扇湖山荘(面積は500haある)を紹介、これについては広報を見て知って欲しい。職員が細々とメンテナンスをしている。今日は、もう時間がないが、おそらく最後のチャンスだろう。

福澤
こういう件は、ぜひ風致保存会で部会を作って検討をして欲しい。

兵藤
了解しました。力を入れて行きたい。そして色々な面で、これを活用していって欲しいと願う。

以上