旧鎌倉図書館保存をめぐる議会と行政の動き

2015年11月1日 旧鎌倉図書館

図書館とともだち会報174号掲載

長期に延会となっていた9月議会が10月20日に再開されました。

旧図書館関連では10月26日に建設常任委員会で鎌倉市景観重要建造物等保全基金条例案が審議され、総員賛成で可決されました。

この審議のなかで委員からは「市民が寄付する際、この建造物に寄付金を使ってほしいと指定できるような規定が必要ではないか」「ある建造物を景観重要建造物として市が指定するときは、行政の判断だけで決めずに専門家の評価を得て決めるべきではないか」などの意見が出され、市も検討すると答弁しました。

旧図書館耐震・補強設計等業務委託料3716万3千円を含む補正予算の審議は10月27日、28日の総務常任委員会で行われました。採決では委員長を除く6名の委員のうち賛成2名、反対3名、退席1名で補正予算は否決となりました。

反対3名のうち2名は北鎌倉の洞門を開削する工事費が含まれていることを主たる理由としたものであり、1名は市長の旧図書館保存への方針転換は説明不足であり議会軽視につながるとするものでした。

10月30日の本会議では賛成多数で補正予算は成立しましたが、同じ予算の中に景観を保全するための予算と景観を壊す別の予算が一括されているというやり方には違和感を覚えざるをえません。

基金条例と補正予算の成立を受けて、市の関係課と私たちが要望している三つのポイントについて協議しました。一つ目の、可能な限りオリジナルな形を残して補強、修復してほしいという点について、市は外観の維持を第一義に考えている、書庫の3層部分の保存は耐震補強との絡みで難しいということでした。

書庫についての説明は納得できないので、専門家の力を借りながら今後も保存の可能性を追求していきたいと考えます。

二つ目の、基金に募金するとき、どの建造物のために使うか指定することもできるような運用基準を設けてほしいという点については、議会でも指摘されたことであり、寄附金の管理は台帳で行うが、その根拠となるものを要綱の形で明文化し例規集に掲載する予定であるという回答でした。

三つ目の、なるべく早く登録有形文化財の申請手続きをしてほしいという点については、まだ申請するかどうか決まっていない、かりに申請するとしても認可まで時間がかかるということでした。原形の保存、補助金の交付、後世への存続などの観点から引き続き関係課への働きかけを行っていきたいと考えます。