TOTOMO主催 旧鎌倉図書館保全チャリティーコンサートが開催されました!

2015年7月20日 イベント / 旧鎌倉図書館

図書館とともだち会報172号掲載
チャリティーコンサートは大盛況、大好評でした。

コンサート風景

7月17日に鎌倉生涯学習センターホールで旧鎌倉図書館保全チャリティーコンサートがTOTOMO主催で開催されました。
チケットは完売し、台風の影響が心配されましたが、天もTOTOMOに味方したか、悪天候にはならず、会場は満席となり、大好評のうちに終了しました。
以下、進行に沿ってレポートします。

専門家によるわかりやすい解説で旧鎌倉図書館の保全を訴える

今回のコンサートは旧鎌倉図書館の保全を願ってチャリティーとして企画されたものです。

したがって、第一部は、この5月に現況調査にあたった菅孝能氏(建築家)による旧鎌倉図書館の建築物としての特徴や保存状態に関する調査報告として行われました。

洋風の縦長の窓に瓦屋根と破風の懸魚(伝統的な火災除けの飾り)という和洋折衷の造り、内部も一階児童読書室だった部屋のカーブがかかった特徴ある梁、アールデコ調の階段まわり、二階には畳敷きの旧婦人読書室、書庫の最上階に残る組み立て式の書架と露出した屋根裏の小屋組み、普段見られぬ床下や天井裏、一階と二階の間の空間も換気口を設けて通気がよく乾燥して腐朽劣化はないこと、柱や梁も太く筋交いが各所に施され構造に歪みがないことなどが、映像として舞台上のスクリーンに次々と写し出され、建造物としての特徴や価値、耐久性の高さなどがわかりやすく説明されました。

御成小講堂、正門、旧鎌倉図書館の3枚の写真を一つにつなげた映像を写して街並み景観としても貴重であること、そのためにも「国登録有形文化財にして、保存利活用を」と訴えて話を締めくくられました。

旧鎌倉図書館が保存・活用すべき建物であることが容易に納得できるお話しでした。

コンサートはブラボーの嵐で大盛り上がり

第二部は、テノール歌手の上原正敏さんとピアニストの大須賀恵里さんによるコンサートでした。
前半はイタリア歌曲、後半は誰でも知っている童謡、カンツォーネ、オペラの名曲が歌われました。
一曲ごとに上原さんのユーモアあふれるトークが挟まれ、観客を笑わせながら曲の意味を伝えるなど、軽妙な話術で聴くものを惹きつけました。
童謡の「赤い靴」もオペラ歌手が歌うととてもドラマチックになり、オペラのアリア「誰も寝てはならぬ」が歌われると会場の隅々まで豊かな声量がビンビンと伝わってきました。
観客を乗せる巧みな誘導もあって、聞き馴染んだメロディーが見事な歌唱力とピアノ伴奏で会場に響くと、一曲終わるたびにブラボーの大歓声が沸くようになり、最後は大盛り上がりのうちにコンサートの幕が下ろされました。

チャリティーコンサートは大成功でした

後に、今回の企画の実質的な共催者である「鎌倉・文化の森」の代表である瀧下嘉弘さんより「戦後70年、鎌倉らしい家、建物、庭がたくさん町から消えていきました。
現在、鎌倉は、特に景観に関する限り、決していい方向に向かっていないのではないか。みなさんにお願いです。

どうか、旧鎌倉図書館を救ってください」という締めくくりの挨拶がありました。
して、司会の田邊恵美さんの「つい先ごろ、御成小学校旧講堂は松尾市長が保存の決定を下されました。

御成小学校正門を挟んだ二つの歴史的建造物が御成小学校旧講堂と旧鎌倉図書館です。
右近の橘があるならば、やはり左近の桜もあるべきではないでしょうか」という印象的な言葉とともに閉会が告げられ、チャリティーコンサートは大成功のうちに終了しました。

参加者の皆さまからも、アンケートで「専門家による旧図書館の説明はわかりやすく興味深かった」「コンサートも楽しく、全体としてとてもいい企画だった」「ぜひ旧図書館は後世に残してほしい」などの感想が寄せられています。

会場に設置した募金箱に7万7千円ほどの募金があり、コンサートの収益金を合わせると46万円を超える額になります(詳細は別掲の表を参照してください)。
これまで集まっている募金と合計すると「ととも基金」の総額は100万円ほどになります。
目標の1000万円には程遠いですが、各方面の協力を仰ぎ、様々な企画を実施しながら目標達成に向けて今後も努力していく所存です。

最後に

今回のチャリティーコンサートの企画は、協賛してくださった「鎌倉・文化の森」から提案されたものです。

演奏者とも交渉済みで、会場も確保されていました。コンサートのチラシや当日配布したパンフレット、プログラムのデザイン、印刷の手配などもお願いしました。

5月以降、「鎌倉・文化の森」の方々とは7,8回の打ち合わせを行いながら準備を進めてきました。

今回のコンサートの成功は「鎌倉・文化の森」の皆さまのご協力なしにはあり得なかったと思います。

この場を借りて厚く感謝の念を表させていただきます。